14.火葬と骨あげ

出棺のあいさつが終りますと霊柩車は火葬場へ向かいますが、これがいわゆる「葬列」で、 かつては「野辺送り」といいました。野辺送りは本来、ご遺体と同時に霊魂をも送る儀式であり、 魂が再び家に戻ってくるのを妨げるために、さまざまな儀礼を行いました。

●同行者の範囲

火葬場へ行くのは、遺族、近親者などの身内か、ごく親しい友人というのが普通です。
昔は、親が子を弔う場合や、夫が妻に先立たれたときには、「逆縁」つまり、死ぬ順序が違っているとして、火葬場へついて行かない風習がありましたが、今日ではこだわらないようです。
火葬場に同行する人々は、前もって決めておきます。

●火葬場へ向かう車の順序

火葬場へは普通、何台かの車に分かれて出発します。それらの車が出発する順序は、
(1) 霊柩車が先頭に立ちますが、これには棺と位牌を抱いた喪主が乗ります。
(2) 1号車には遺族代表が遺影とともに乗ります。
(3) 以下、故人と血縁の近い順に遺族、親族、友人、知人などが乗った車が2号車、3号車とつづきます。
(4) 車内での席順は、後部座席の右に遺族代表、つづいて血のつながりの近い順に後部中央、助手席となります。
(5) マイクロバスの場合は、運転席の後ろに喪主、その隣に遺族代表、以下、遺族、近親者と順にすわります。
また、僧侶が同行するときには、遺族代表と同じ車に乗ってもらいます。

●火葬場へ持っていくもの

(1) 死亡届を提出したときにもらう「火葬許可証」を必ず持参します。これがないと、ご遺体を火葬することができません。
(2) 火葬場に行って「火葬許可証」を提出しますと、火葬がすんだあとで、その日付を記入してくれます。これが遺骨の「埋葬許可証」となりますから、そのときまで大切に保管します。
(3) 火葬には1〜2時間くらいかかりますから、同行者控室で待つことになります。
(4) 昼どきにかかるようならば、弁当なども必要です。都市部の火葬場では、売店や喫茶室などの設備もあるので、そこを利用することもできます。

●火葬場にて

(1) 火葬場に到着しましたら、受付で「火葬許可証」を提出します。
(2) 火葬場の係員の指示に従って、棺を霊柩車からおろし、かまどの前に棺のまま安置します。
(3) かまどの前の小机の上に位牌、遺影、香炉、生花、燭台、供物などを飾ります。
(4) これらの祭具は、火葬場で用意してありますので、位牌と遺影だけ持参すればよいでしょう。
(5) この祭壇の前で「納めの式」が行われます。
まず、僧侶が最後の読経と焼香をし、次に喪主、遺族、近親者の焼香につづいて、同行者一同が焼香、合掌、礼拝します。
最近は、僧侶の読経を省略することが多くなっていますが、この場合は、すぐに喪主から順に焼香をします。
(6) 一同合掌のうちに棺はかまどの中におさめられ、点火されます。
(7) 火葬にかかる時間は1〜2時間くらいですが、点火のあとは、火葬が終了して骨あげの知らせがあるまで、控室で待ちます。

●骨あげ

(1) 火葬がすみますと控室に案内がありますから、一同は再びかまどの前に集まって「骨あげ」をします。
(2) 本来は竹と木で一対にした箸を使い、人から人へ箸渡しで骨壷におさめるのがしきたりです。しかし、現在では、竹の箸を使い、二人で一つの骨をはさんで骨壷におさめます。
(3) 遺骨を拾う順序は、故人と血のつながりの近い遺族、近親者、友人の順に二人一組になって行います。
(4) 遺骨は足の骨から順に、上半身の部分へと拾い上っていきます。一、二片拾ったら、箸を次の人に渡します。
(5) お舎利とよばれる「のど仏」は、故人と最も血のつながりの近い二人が最後に拾います。これで、骨壷の中で足が下に、頭骨とのど仏が上になって、納まるわけです。
(6) 遺骨を分骨したい場合には、前もって葬儀社に伝えておきますと、分骨用の小さな骨壷が用意されます。
(7) こうして主な骨を拾い上げますと、残った骨は係員が骨壷におさめ、白木の箱に入れて白布で包んでくれますから、それを喪主が両手でかかえ持ちます。
(8) 火葬後に受付で埋葬許可証の証明を受けます。
(9) 位牌と遺影を持って、来たときと同じ車に分乗して帰ります。ただし霊柩車はついて来ませんので、喪主は別の車に乗り換えます。

 

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