<現 状>
数珠は葬儀や法事などの仏事に持参するもので、一般に一連、単念珠が多く用いられています。
材質は透明な水晶や色の美しい珊瑚、渋い色の香木などがあります。
普通数珠は、持っている場合左手首にかけるか、房を下にして左手で持ちます。合掌の時には、両手の親指以外の指を輪の中に入れ、親指と人差し指で支えるようにします。自分とは違う宗派の葬儀に出席する場合にも、自分の属する宗派の数珠を持参しているようです。
市販の数珠には男性用と女性用があり、珠の大きさや色が違っています。本来数珠は僧侶が仏事に使用するもので念珠(ねんじゅ)ともよばれます。現在では材質、珠の大きさなどの違いで男性用、女性用に分けられています。素材としてはお釈迦様が菩提樹(ぼだいじゅ)の下で悟りを開いたといういわれからか、菩提樹の実が一番いいものとされていますが、現在は男性用には黒檀(こくたん)が一般的です。また女性用は男性用に比べ珠は小さく、琥珀(こはく)、瑪瑙(めのう)、白珊瑚(しろさんご)、水晶、真珠、象牙などが用いられています。数珠は古来ヒンズー教のバラモンが儀礼用に用いていたもので、現在もヒンズー教徒の間で用いられています。その後、密教僧が用い始め一般仏教徒も用いるようになりました。数珠は「念珠」ともいい、念誦する題目などの数を記憶するために用いられました。念珠の珠の数は、人間の百八の煩悩を表しています。従ってもとは百八個の珠をつないでいましたが、百八では長すぎるので、2〜4分の1に省略して用いられています。日本に数珠が入ってきたのは天平8年(736年)、天竺僧の菩提仙那が来朝の際、天皇の献納品の一つであったといいます。