真言宗の式次第

真言宗は弘法大師空海(774〜835)が開いた真言密教の教えで、この身のままで仏になる即身成仏を目指しています。主要経典は『大日経』『金剛頂経』。ご本尊は大日如来。本山は高野山真言宗が金剛峯寺。葬儀は死者を大日如来の密厳浄土または弥勒菩薩の浄土である都率(とそつ)天に送る儀式です。
奥の院で入定した空海は、弥勒が地上に降りてくる時には力を合わせて人々を救済するといわれています。ここでは高野山真言宗の儀礼を取り上げます。
(なお地域によって式次第が異なったり、時間によって省略される場合がございます)

一般の仏式葬儀式

次第一般に行われる仏式葬儀の場合、「読経」という部分でその宗派独自の経典読経、および作法が実施されます。式次第に「読経」部分の細目が記されない場合には、仏式に共通した式次第が使用されることがあります。

式の特色

高野山真言宗ではまず遺体を納棺してから、棺の前で授戒が行なわれます。真言宗の葬儀の特徴は、灌頂(かんじょう)の儀式にあるといわれ、灌頂は頭に水をそそぎかけることで、密教では仏の位にのぼるための重要な作法です。
また死者の霊を浄土にお運びする役目は弥勒(みろく)菩薩で、この菩薩のご来迎を頂いて、弥勒の浄土に成仏することが目的となっています。

葬儀式次第(例1)

1.枕経

般若理趣経・真言・陀羅尼(だらに)

2.納棺

光明真言

3.通夜

理趣経・慈悲の呪・光明真言

4.葬儀式

(1) 洒水(しゃすい) 死者に法水をそそぎます。
(2) 加持供物 供物を加持します。
(3) 三礼 仏法僧に帰依します。
(4) 剃髪(ていはつ) 死者を剃髪します。
(5) 授戒 死者に戒律を授けます。
(6) 戒名  
(7) 表白 仏を賛え、これから行なう儀式の成就を祈ります。
(8) 神分 諸々の仏を勧請して法楽を捧げます。
(9) 教化(きょうけ) 諸仏の教化を願います。
(10) 引導 臨終の大事を授けます。
(11) 真言  
(12) 五鈷杵授与 偈を三遍唱えます。
(13) 真言  
(14) 御引導大事 弘法大師引導の大事の印、偈文、真言を授けます。
(15) 開眼 位牌を開眼します。
(16) 血脈 真言密教の血脈を授けます。
(17) 六大印 真言を授けます。
(18) 偈文 脇導師、焼香して偈文を唱えます。
(19) 諷誦(ふうじゅ)文 導師、諷誦文を唱えます。
(20) 弔辞・弔電奉読  
(21) 後讃 鉢をつきます。
(22) 読経 真言・陀羅尼、回向を唱ます。
(23) 祈願 浄土に往生するよう祈願します。
(24) 出棺/以上  

式次第(例2)

1.葬儀式

(1)一同着席
(2)奏楽
(3)導師入場
(4)開式の辞
(5)読経
(6)導師諷誦
(7)弔辞拝受
(8)弔電奉読
(9)葬儀委員長挨拶
(10)読経
(11)指名焼香
(12)参列者焼香
(13)奏楽
(14)導師式衆退場
(15)閉会の辞

2.告別式

(1)導師入場
(2)開式の辞
(3)読経
(4)告別式参列者焼香
(5)喪主謝辞
(6)閉会の辞/以上

 

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