山本先生・・・・・先生の遺影を前に致しまして一言お別れのご挨拶をいたしたく思います。
山本先生の永眠されましたことは、まことに痛惜にたえません。
われわれはここに、深く哀悼の意を表するものであります。
山本先生の業績につきましては、今更事新しく、私が申し述べるまでもないと思いますが、すでに大学在学中に発表されました論文は学会の話題となり、将来の偉大さを予見させるものと言われていました。○○年文学部助教授、○○年教授となられ、その後○○年、大学派遣による在外研究員としてフランスに留学されました。
山本先生はわが国における比較文学研究の先駆者で、日本フランス語教授連合会会長としてわが国におけるフランス語教育の水準向上に寄与するとともに、日仏文化交流に果した功績も大きく、○○年にはレジオン・ドルール勲章を授与されました。特にバルザックの研究ではフランス本国でも高く評価されていますことは周知のことと存じます。私もそうした先生の著作に大きな影響を受け、先生の下に学ぶことを一生の希望と致しておりました。
山本先生、私は先生にたくさんのお礼を申し上げねばなりません。先生に初めてお眼にかかってからの歳月、その間にご迷惑を山ほどおかけしたのに、どれほど多くのことを先生から教わったことか知れません。そして教わったことの何分の一も私は理解していないのではないかと申し訳なく思っています。しかしそれも先生の辛抱のよさと我慢強さがあったのでしょう。私も先生の不肖の弟子の一人として先生のおそばで学ぶ光栄を受けることが出来ました。
特に、先生がフランスで研究されていたときのノートや貴重な文献もお借りするなど、公私ともに多大な面倒を見ていただきました。
これからはあの慈愛あふれる温顔に再び接することができなくなりますことが、誠に残念でなりません。私たちは、先生に学んだ幸福の時を、これからの励みとし、辛い試練にあっても生きていける自信がもてるような気がしています。先生、どうか安らかにお眠り下さい。
悲しみは深く、ただ先生の思い出にひたりながらお別れの挨拶と致します。
ありがとうございました。
平成○年○月○日
○○○○